役員報酬が未払の場合の源泉所得税の納付
投稿日:
資金繰の都合上、役員報酬が未払いとなってしまう場合があります。この場合であっても源泉所得税を徴収して納付しなければならないのでしょうか?

(理論上)
源泉徴収は給与等を実際に支払う際に行いますので、役員報酬が未払いとなる場合には源泉徴収を行ったり、納付する義務はありません。 (役員賞与は、支払確定日から1年以内に支払わなければ、その1年経過日で支払があつたものとみなして、源泉所得税の納付義務が生じます)。
(実務上の話)
ただ実務上は、役員報酬が未払いであっても、それに対応する源泉所得税を納付するようにアドバイスする税務アドバイザーも多いです。そうしないと、税務調査の際の印象が悪いからです。役員報酬はお手盛りで金額を操作できる余地があるため、決算の段階で算出された会社の利益に応じて、役員報酬を後付けで決めて未払のままとすることができてしまうからです。
なので、会社に実際にお金が全くなく、役員報酬を支払うことが物理的に無理だったことを証明できるならば、印象が悪くなることもないため、源泉所得税の徴収/納付の必要もないように思いますが、印象の問題もあるため、役員報酬が未払いであっても、できれば源泉所得税は納付をしておく方が良い、という整理です。税務調査はコンピューターが行う訳ではありません。現実的には印象も当然入らざるを得ないため、税務調査を円滑に進めるためには印象が大事です。
所得税法183(源泉徴収義務)
居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
2 法人の法人税法第二条第十五号 (定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から一年を経過した日までにその支払がされない場合には、その一年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。
関連記事
-
-
広大地の評価⇒2018年からの大改正(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は山沢が担当しました。相続税法、広大地の評価減に関する大改正に …
-
-
グループ間で寄付があった場合の親会社側での調整=寄付修正(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は佐々木さん。ちょっと難しいトピックですが、100%グループ間 …
-
-
タックスヘイブン税制 (水曜勉強会)
今日の講師は税理士の榊原さん。留守宅手当に対する183日ルールの適用、相続税の小 …
-
-
10年任期の会社の役員重任登記忘れに注意
役員任期を10年とすることができるようになってから、10年が経過しました。 とい …
-
-
海外に出向している従業員の給与の一部親会社負担 その②
出向元法人において損金の額に算入することができる留守宅手当ですが、下記のようなも …
-
-
大企業の交際費、税優遇でも減少 (新聞報道を解説)
大企業の交際費支出を促進するために、交際費に対する課税の規制が緩和されましたが、 …
-
-
今年の確定申告
外国人の皆様からの依頼が本当に増えた1年でした。今や、個人確定申告に限っては、売 …
-
-
BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト(水曜勉強会)
昨日の勉強会の講師は私。固定資産税に関する訴訟、スキャナ保存制度、ディスカウント …
- PREV
- 非上場株式の低額/高額譲渡①(水曜勉強会)
- NEXT
- 雇用調整助成金の収益計上時期