報酬か給与か?注目の国税不服審判所裁決
投稿日:
国税不服審判所が、平成24年11月1日に、飲食業を営む法人が、そこに所属するホステスへの支払いにつき、給与なのか報酬か、ということにつき裁決を行いました。法人にとって、その支払いが報酬となる場合には、”消費税の仕入税額控除”が適用できますが、給与となった場合には適用NGです。また個人側でも、報酬として収受することができれば、その報酬を得るために必要となった経費全額を必要経費とすることができますが、給与として収受することになると、給与所得控除として定められた額しか必要経費とすることはできません。
国税不服審判所は、飲食店を営む法人からのホステスへの支払いを、報酬では無く給与と裁決しましたが、その理由は、従来の”給与”or”報酬”の考え方を左右していた考え方を大きく覆すものでした。当時かなり注目をあびた裁決だったのですが、再度投稿します。
現行の”給与”or”報酬”の判断においては『その金銭の支払を受ける者が、法人から空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務を提供して、その対価として金員を支給されていた』『時間をベースに計算されていた』場合に、その法人と支払うを受ける者との間に、”雇用契約、又はこれに類する法人の指揮命令に服して提供した労務関係”が発生したとされ、給与課税されるようになってますので注意が必要です。
今回、そのホステスへの支払いが給与と認定された理由は以下です。
-法人の店長が、ホステスの給与体系、勤務時間などを管理していた
-支払額は、そのホステスの勤務時間や遅刻等の有無等を勘案して算出されていた
-以上の事実を総合的に考慮すると、本件ホステスは、法人との関係において、空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務を提供して、その対価として金員を支給されていたということができる。
-本件ホステスへの支払は、本件ホステスが本件店舗において接客等をした対価であり、その対価の額は、客からの指名本数や飲食の数に応じて変動し、自己の責任において行われていることから報酬等である旨、タイムカード等により管理されていることをもって支給された金員が給与であるとはいえない旨主張する。しかしながら、本件ホステスへの支払金額は、時間給が基本であって、時間給に上乗せされる金額は、請求人の売上げに対する貢献度により加算される給与等であると認められる。その貢献度により異なることは、一般の給与制度にも見られる。
-本件ホステスは、売掛金の未回収分があっても、その責任を負っていなかったことからすると、自己の計算と危険において独立して経済活動を営んでいたものとは認められない。
関連記事
-
米国大手ネット会社に支払う出品手数料は消費税の課税対象か?(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は古川さん。米国の大手ウェブサイトに書籍等を出品販売していた個 …
-
IT関連業務の契約書の印紙税
契約書に印紙を貼付しなければならないケースは多いですが、IT企業が取り交わす契約 …
-
租税条約の届出書を提出し忘れてしまった場合
租税条約の届出書を提出し忘れてしまうと、原則としては、その届出書を提出する前の取 …
-
職権による休眠会社の強制解散(12年ぶり)
法務省が12年ぶりに休眠会社等の整理作業を行うそうです。休眠会社とは最後の登記か …
-
代表取締役への退職金は要注意(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は榊原さん。国会を通過した税制改正法案、分掌変更に関する判決等 …
-
コンテナ節税スキームに税務当局が指摘(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は中川さん。コンテナ型トランクルームの節税投資に関する更正処分 …
-
忘年会
皆さん今年もお疲れ様でした!1年お世話になりました!!
-
タイのデイリーヤマザキでは。。
決算発表には全く関係ありませんが、山パンはタイのバンコクにもあります。高架鉄道( …