組織再編税制 行為計算否認に関する最高裁判決(水曜勉強会)
投稿日:
今日の講師は岩里さんです。Yahoo事件の判決について解説してくれました。税務上の繰越欠損金を有している子会社を吸収合併して、その繰越欠損金を引き継ごうとしましたが、その行為が”法人税の負担を不当に減少させる”として、最高裁判決で繰越欠損金の引継ぎが否認された事例です。
”法人税の負担を不当に減少させている” という条文の解釈は実務家にとっては非常に難しいのですが、最高裁はその解釈を、①実態とは乖離した形式を作り出すなど不自然なものかどうか、②税負担の減少以外に合理的な事業目的等があるか否か で判断する指針を示しました。
合併法人Y社がの社長が、被合併法人I社の副社長に就任した行為に対して、具体的には、
★一連の再編がごく短期間で行われたこと
★I社の副社長への就任が、事業上の目的やその必要性が具体的に協議された形跡がないこと
★I社の副社長の就任後の業務が、合併準備やその後の事業計画に関するものにとどまること
★I社の副社長は、代表権の無い非常勤であり、担当業務も無く役員報酬も受領していなかったこと
という事実から、I社の副社長への就任が、①実態とは乖離した不自然なものであり、②税負担の減少以外に合理的と思える事業目的等が無いと指摘しました。これまで、だいぶ議論の多かった条文の解釈でしたが、これで少し前に前進しました。
関連記事
-
税務調査が電話ベースで行われる?(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は中野さんです。 コロナ禍で税務調査の件数が前年の30%にまで …
-
外国法人の日本支店がPE認定課税を受けないためには (=補助的な機能とは?)
外国法人が日本支店を有するケースはで、必ず問題になるのは、PE認定課税です。日本 …
-
租税条約の届出書のe-tax提出
例えば、租税条約に関する届出書ですが、E-taxソフトでカバーされていないため、 …
-
INAA 国際会議(LasVegas)
アルテスタ税理士法人は、国際会計事務所ネットワークのINAAという組織に加盟して …
-
青色申告会
今日は青色申告会主催の、消費税申告相談会の相談員として、船橋に来ました。個人事業 …
-
パナマ文書で判明、31億円申告漏れ 国税当局が調査
国税当局が、パナマ文書を参考に税務調査を進めていると噂をききましたが、この1年間 …
-
会社規模区分と土地保有特定会社
相続税対策を検討する際に注目となる税制改正を紹介します。 総資産の中に占める不動 …
-
海外子会社への寄附金と通常の寄附金の違い(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は佐々木さんです。 海外子会社への寄附金と、国内子会社への寄附 …
- PREV
- シニアプロゴルフツアー最終予選
- NEXT
- カツオの塩タタキ。