M&A
よくあるご質問やご相談
- 親会社と子会社の統合を検討しています。合併により子会社を吸収する場合と、営業譲渡により子会社の営業を譲り受ける場合とのメリットとデメリットを教えてください。
- 特に、子会社の統合までに許される期間や、子会社が顧客と有している契約の移行の難易度等を考慮し、合併か営業譲渡かを選択すればよいと思います。下記にメリットとデメリットを検討してみましたので、参考にしてください。
なお、平成22年10月1日以降の取引については、グループ法人税制の施行により、取り扱いが大きく変わります。100%の資本関係となる親子会社間の取引については、下記と異なる取り扱いとなりますのでご留意ください!グループ法人税制については現在Q&Aを作成中です。項目 合併 営業譲渡 メリット・デメリット 統合までの期間 長 短 債権者保護手続きが必要な分、合併の方が統合までに期間を要します。最低1カ月の期間を定めて官報公告を掲載する他、官報公告の予約には、通常2週間程度の期間を要します。 子会社が顧客等と締結している契約 親会社が自動的に承継 親会社が再契約 合併の場合、子会社が有していた顧客との契約は自動的に親会社に承継されますが、営業譲渡の場合には、親会社が、再度子会社の顧客と契約と締結し直さなければならない手間・リスクが生じます。 子会社が不動産を保有している場合の不動産取得税 無 有 営業譲渡の場合、土地の移転に対し3%、家屋の移転に対し4%の不動産取得税が課されます。子会社が不動産を有している場合には、合併の方が有利となります。 含み損益を有する資産 簿価引継
(適格の場合)評価損益が実現 営業譲渡の場合には、時価取引となりますので、子会社が有している有価証券、不動産等の資産に含み損益がある場合には注意が必要です。
尚、非適格合併の場合にも、同様に含み損益が実現します。子会社消滅時の課税 無
(適格の場合)場合によっては株主課税 営業譲渡の場合には、営業譲渡後に子会社を清算する際に、みなし配当課税が行われる課税が有ります。
尚、非適格合併の場合にも、同様にみなし配当課税が行われる可能性があります。 - 法人の合併を検討しております。税務上の「適格合併」について教えてください。
- 法人が、合併により資産負債を移転する場合には、原則として時価課税が行われ、含み損・含み益が実現することとなります。ただし、税制適格要件を満たす場合には、資産等を帳簿価額で移転したものとして、譲渡損益の認識を繰り延べることとなります。含み損益を有する不動産、有価証券などを保有する場合には、特に留意が必要です。また、この他にも、下記の税制上の恩恵を受けることが可能となります。
- みなし配当課税の不適用
- 一定の要件を充足した場合、被合併法人の税務繰越欠損金の引継可能 (但し、一定の場合には、合併法人が有する税務繰越欠損金にも利用制限が生ずるため留意が必要です)
【適格合併と非適格合併のメリットの比較】
項目 適格合併 非適格合併 受入資産への時価課税 無 有 消滅会社株主へのみなし配当課税 無 有 税務繰越欠損金の引き継ぎ可能性 一定の場合 可 不可 特定譲渡資産(不動産)の譲渡損失の損益通算 一定の場合 可 不可 - 弊社の一部門の分割を検討しております。税務上の「適格分割」について教えてください。
- 法人が、会社分割により資産負債を他の会社に移転する場合には、原則として時価課税が行われ、含み損・含み益が実現することとなります。ただし、税制適格要件を満たす場合には、資産等を帳簿価額で移転したものとして、譲渡損益の認識を繰り延べることとなります。含み損益を有する不動産、有価証券などを保有する場合には、特に留意が必要です。また、この他にも、下記の税制上の恩恵を受けることが可能となります。
- 分割型分割の場合には、みなし配当課税の不適用
【比較 ~適格分割と非適格分割~】
項目 適格分割 非適格分割 分割承継資産への時価課税 無 有 分割法人の株主へのみなし配当課税 無 有 特定譲渡資産(不動産)の譲渡損失の損益通算 一定の場合 可 不可 - 税務上の「適格合併」「適格分割」に該当するための要件ついて教えてください。
- 【適格要件】
その「適格合併」と「適格分割」が、「企業グループ内の組織再編」又は「共同事業を営むための組織再編」とに該当するか否かに応じ、要件はそれぞれ下記の通りとなります。
区分 企業グループ内の組織再編 共同事業を営むための組織再編 100%の資本関係 50%超100%未満の資本関係 適格合併
適格分割- 株式以外の資産が交付されない(※1)
- 組織再編前の資本関係の継続見込(※2)
- 株式以外の資産が交付されない(※1)
- 組織再編前の資本関係の継続見込(※2)
- 80%以上の従業者を引継見込(分割の場合には、さらに主要資産等を引継ぐこと)
- 事業継続の見込
- 株式以外の資産が交付されない(※1)
- 事業が相互に関連
- 株式等を継続保有する見込(※3)
- 事業継続の見込
- 80%以上の従業者を引継見込(分割の場合には、さらに主要資産等を引継ぐこと)
- 規模要件または役員引継要件(※4)
(※1)但しA~Cがあった場合でも、適格要件を満たすものとされております。
- (A)最後事業年度の配当金
配当見合いとして被合併法人の株主に交付する金銭等 - (B)端株の交付金
合併比率により端株が生じた株主に対する金銭等 - (C)買取代金
合併反対株主からの買取請求による金銭等
(※2)合併後、第三者割当増資により、100%、又は50%超100%未満の支配関係を維持することができなくなった場合には、支配継続要件を充足しないこととなるため注意が必要です。
(※3)被合併法人または分割型分割に係る分割法人の株主等の数が50人以上である場合には、この要件は課されていない。
(※4)売上金額、従業者の数、これらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと。または当事会社双方の一定の役員が特定役員(常務以上の役員)となることが見込まれていること。
- 被合併法人が、税務上の青色繰越欠損金を有しています。これら欠損金は、合併により、合併法人に引き継がれますか?
- 【青色繰越欠損金の引継要件とみなし共同事業要件】
適格合併(※1)が行われた場合には、合併法人は、原則として被合併法人の青色繰越欠損金を引き継ぐことができます。ただし、企業グループ内の適格合併の場合、グループ化(50%超の持分関係)後5年を経過していない企業同士の合併の場合には、「みなし共同事業要件(※2)」を満たさないときは、被合併法人の青色繰越欠損金の全部または一部が、合併法人に引き継がれないこととなる場合があります。
被合併法人が青色繰越欠損金を有する場合には、「グループ化後5年を経過しているか否か」「みなし共同事業要件を充足しているか否か」「被合併法人のグループ化直前期末の財産状態」を把握する必要があります。
グループ化後合併事業年度開始日までの期間 みなし共同事業要件 被合併法人の欠損金 5年以上 制限なく引き継ぎ可能 5年未満 満たす場合 制限なく引き継ぎ可能 満たさない場合 一定の引継制限有り (※1)合併類似適格分割型分割の場合も、同様の規定が適用されますが、説明は省略します。合併類似適格分割とは、分割承継法人に営業のすべてを承継させ、分割法人は直ちに解散する適格分割です。営業を承継する法人が1社である場合には、合併とまったく同様の経済的効果が得られることになります。
(※2)みなし共同事業要件は、共同事業を営むための適格組織再編の要件の一部と、被合併等事業と合併等事業がグループ化時から適格合併等の時まで継続して営まれており、かつ、その事業規模の変動がおおむね2倍を超えないことが要件となっています。
- 合併法人、及び被合併法人が、含み損のある不動産を所有しています。これら不動産は、合併後に売却される予定ですが、当該売却損失の取扱いを教えてください。
- 【特定資産の譲渡損失】
企業グループ内でみなし共同事業要件を満たさない適格組織再編が行われた場合において、グループ化が適格組織再編の日の属する事業年度開始の日の5年前の日以後に生じているときは、合併法人、分割承継法人および被現物出資法人(以下、合併法人等)の適用期間(※6) において生ずる特定資産譲渡等損失額(※7)の全部または一部が、合併法人等の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されないこととなる場合があります。
(※6)適用期間とは、適格組織再編の日の属する事業年度開始の日から同日以後3年を経過するまでの期間または、グループ化後5年を経過する日までの期間のいずれか早くに終了する期間をいいます。
(※7)特定資産譲渡等損失額は次に掲げる金額の合計額をいいます。
合併法人等が適格組織再編により移転を受けた資産で被合併法人等がグループ化前から有していた一定のものの譲渡等による損失の額の合計額から譲渡等による利益の額の合計額を控除した金額
合併法人等がグループ化前から有していた一定の資産の譲渡等による損失の額の合計額から、譲渡等による利益の額の合計額を控除した金額 - 必ず「適格合併」に該当させた方が良いのですか?
- 例えば、消滅会社の合併直前事業年度が黒字である場合には、消滅会社が有している資産の含み損失を実現させるために、非適格合併を選択した方が有利である場合も有ります。
なお、平成22年10月1日以降の非適格合併については合併当事者が100%の資本関係であった場合には、これとは異なる取り扱いになりますのでご留意下さい。グループ法人税制については現在Q&Aを作成中です。 - その他、適格要件を検討するにあたり、気をつけておかなければならない注意点を教えてください。
- 組織再編に関しては、予想もされない租税回避行為が行われることが考えられるため、税務上は、「包括的租税回避防止規定」が定められています。税務署長は、組織再編により資産等を移転する法人、その資産等を受け入れる法人、またはこれらの法人の株主である法人の法人税につき、その行為または計算でこれを容認した場合には、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為または計算に関わらず、税務署長の認めるところにより、その法人税の額等を計算することができるとされています。同様の規定が所得税法および相続税法にもみられます。